『あ~もうすぐ車検だよ〜』っていうあなた!車検ってなんとか安くあげたいですよね。
むかしから車検って『高い』と思われてる整備の一つですが、なんで高いかというと日本の車検制度というものに原因があります。
俗に言う車検って言うのは、『車体の検査』です。
オートフォーラムでは『中国運輸局広島運輸支局福山自動車検査登録事務所』・・・まあ、福山の陸事って呼んでますけど、そこへ車を持ち込んでいます。
そこで、実車を独立行政法人自動車技術総合機構の検査員が検査、窓口へ各種書類提出、税金の支払いなどを済ませて、すべてOKとなったら有効期間が2年(バンやトラックは1年)の車検証が発行されます。
いわゆる『持ち込み車検』というものですが、メリットとしては独法の検査員=国が委嘱した機関の検査員なので、この検査場でOKが出たものは合法車両なのです。
国が、『あなたの車は次の車検まで公道を走っていいよ!』と認めてくれるんです。
ディーラーなどの指定整備業者が一番嫌う、改造車や古くなって基準に合うのか判断に迷う車などでもきちんと法令に基づいた検査基準で合否を判断してくれます。
逆に言うと、ディーラーなどで断られた車が問題なく車検に受かったり、通らないところはこうすれば通せる(法令に合わせることができる)ということまで教えてくれます。(あくまで常識の範囲内の車ですよ。中にはダメなものはダメっていうのもあると思いますが ^_^;)
さて、よけいな説明が長くなりましたが、気が付きましたか?
・・・あれ、じゃあ車検のたびにやってる整備は?
となりますが、日本の車検制度は必ず点検整備を車体検査のたびにセットでやらなくてはいけないことに法令で決まっています。
今は点検整備のタイミングは車体検査の前でも後でも構いません。(平成7年以降そうなりました)ただし、車体検査で不合格になったらその部分の点検整備をやり直してもう一度車体検査を受けなくてはいけません。
なので、ウチではそんな無駄を省くため点検整備を済ませてから陸事に持ち込むようにしています。
さて、ここまででおわかりのように一口に『車検』と言いますが本当は『点検』『整備』『検査』という別々のものをひとつの流れですませているのものなんですね。(そこに国による重量税の収納、自賠責保険料の支払いもひとつの流れに乗せられてるのがホントの車検が高くなってる原因なのですが!!)
さて、その点検整備のところですがダメなものは当然換えますし、もうすぐ寿命だなというところも当然そうです。(もちろんお客様の了解のもとでです。)
一例でディスクブレーキキャリパーなんですが、ウチでは乗用車の場合2車検に1回くらいの割合でオーバーホールしますが、4年くらい経つとこんな感じになってます。
見てのとおりピストンにサビが付着してきています。
通常、ブレーキ液に浸かっている部分でこうなるのですが、ブレーキ液には吸湿性があるため、取り込んだ水分によってサビが発生するわけです。
ブレーキ液は2年に1回交換していますが、それでもこうなるので、4年毎には分解してキレイに清掃しリセットしてやるのです。
その時には黒い円形状の部品(シールキット:ゴム製)も交換してやります。
上が通常交換するピストンシールという部品です。通常必要部品が1セットになっているシールキットという状態で供給されています。
しかし、他社からの流入ユーザー様の過去の整備歴などを見ると9年目で1回もオーバーホールしてない車もあったりします。そういう車の記録簿にはブレーキクリーニングキット等が記載されているので、外部からの清掃でもってメンテナンスしましたということなんでしょうけど、ひどいものはこんな状態のも出てきます。サビによってピストンに虫食い状の陥没が発生してきています。ひどくなるとブレーキ液漏れにつながりますのでもちろんこれも交換しなくてはいけません。
前ブレーキに関してだけでもこんな感じですが、これが他の部位でも同じように定期的にメンテナンスしておくと壊れてからよりはずっとお得に調子良く使えるわけですが、それでも昔に比べると車が壊れにくくなってきた現代においては車検・点検制度が整備されているがために日常的に気にかける方は少なく、異常に気づかないかぎり車検の際に問題発覚することがおおいのが現状です。
なので、日常のメンテナンスをせずに2年に1回の車検の時しか整備の機会が無い方は一度にどかんと、『あそこも悪い、ここも悪い。』となるので余計に『車検は高い』という印象になってしまうんですが、要するにある程度クルマを維持する上で必要コストは決まってきます。
それを分散して平準化するか、ためにためてドカンと支出するかということなんですが、まあ、しょっちゅう整備の事ばかり考えるのは煩わしいと思うので、せめて1年点検(これも法定ですが)は受けていただいてはどうか?というお話です。
さて、なんで今回こんな話を始めたかというと、先日友人が教えてくれた激安車検にまつわるある話がきっかけなんですがそれはまた今度。
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