いつもご入庫いただくローバーミニ。この車、日本仕様のほぼ最終型だと思うんですよ。
なので、現存するなかでは比較的新しいローバーミニだと思うんですが、それでも生産されてから20年が経ちます。
今回は足回りのオーバーホールと、先日から運転席ドアの窓ガラスが傾いてしまったので直してほしいとのことでご入庫です。
ローバーミニのほぼロールしない独特な乗り味をもたらす足回りはラバーコーンというゴムの塊で支えられてます。
普通は金属のバネがつくんですが、ローバーミニはかわりにこの形状のゴムで衝撃を吸収します。
(逆に今ではコイルスプリングに変えてしまうのも結構聞きますが、それをやってしまうとミニじゃなくなるという人もいますね)
この仕組みを考案したのはアレックス・モールトンというイギリスのエンジニアでミニのために設計したのですが、長いコイルスプリングを設置するスペースがないのでこの形式を考案したとも言われています。
今では、自転車のほうが有名でしょうか?
もともとゴム製品製造会社の一族として生まれているのでこんな奇想天外なシステムを思いついたのかも知れませんね。
本来最小スペースで最大効率を求めたシティーカーとして考案されましたが、ストロークが小さくロールしない4輪独立サスペンションというまさにスポーツカーに必要な要件が備わったこの足回りのおかげで現代の交通の中でも全く遜色なく走れます。
聞く話によれば当時はそのコーナリングスピードの速さは異様だったそうで、モンテカルロラリーでポルシェ911を破っての優勝話もあって、ワタシの子供の頃にはミニクーパーSはまるでスーパーカーの一員のようなポジションだったのを思い出します。
さて、まるで良いことづくめのようなことを書いてみましたが、所詮ゴムはゴムなので年数が経過すると当然重さで潰れてきますんで、
こんなになっちゃいます。
当然硬くなってストロークも減るので乗り心地は悪くなり、そのうち車検も通せないくらい車高が下がってしまいます。
それを補正するためにハイローキットという名称のいわば車高調をみんな標準装備のように装着していますがここまで潰れると補いきれないのでこのラバーコーンを換えることになり、手間のかかるアッパーアームの脱着も必要です。
だったらついでについでに足回りのラバー部品や、いままでやってないところを換えてほしいとのことで、主にフロントサスを中心に各部交換していくプランをご提案しました。
点検の上取り寄せたのは前後ラバーコーン、アッパーアームベアリングのラバーリング、アッパーアームを受けるバッファラバー、テンションロッドとロアーアームのブッシュ、それから破れてたドライブシャフト右インナーブーツとガタの出たタイロッドエンド、それにリヤハブベアリングです。
長くなるので次回に続きます。
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