【ランクル80】シリンダーヘッドO/H

ピカピカのシリンダーヘッドですね!

みなさん単品のシリンダーヘッドなんて見ることなかなかないですよね。

しかも新品!

ワタシも30年整備士やってますが新品のシリンダーヘッドは今までも数えるほどしか見たことありません。

なんで新品のシリンダーヘッドがここにあるかというと、長年ランクル80を愛用している友人M君が『最近白煙が気になってきたし、結構乗ってるから今回の車検に合わせてエンジンのオーバーホールをしたい』と言いしかも『どうせやるなら内燃機加工の専業メーカーできちっとしたオーバーホールを』との希望なので何社か見積もってもらいました。

・・・オーバーホールできるとして最低100万円位〜という見積もりで、さらに『開けてみて使えない部品などが出てくると極端に高額になる可能性もある』とのことを伝えると『さすがに想定外』と。

じゃあヘッドだけでもとのことでヘッドのみオーバーホールすることになりました。

軽い白煙と黒煙はもくもく出るようになったけど普段使ってて問題ないからまあ大したことはないだろうと本人談でしたが、オイルを食うようになったけど15W-40を入れるようになってから少しマシになった気がするとかまあ距離なりにくたびれてきていることも確かのようでした。

6気筒の鋳鉄ヘッドめちゃくちゃ重いです

さて、下ろしにかかりますがOHCのディーゼルヘッドはヘッドボルトの本数がガソリン車の倍くらいあるだけであとはそんなに難しくないのです。

しかし、エンジンルームが高い!部品がいちいち重い!

結構大変です。

それでもヘッドをおろして清掃がてら確認してみたところ、ヘッドの歪みは多少あるものの大丈夫かな〜?クラックはないし、ガスケットが吹き抜けている様子もないし、大丈夫だろう。

バルブシートやガイドは打ち替えるだろうけど面研で大丈夫そうかな?

4.2L直6迫力あります。

ブロック側はピストンのガタは大きめ?いやボア径でかいしこんなもんかな?デッキ部分歪みもないし、水穴の侵食もないしいいだろう。シリンダーも縦方向傷・摩耗もほぼないし、クロスハッチも残ってるし、心配ないだろう。(ブロック側はあとで測定しました。問題なし)

など、多少気になることはあるもののまあ問題ないんじゃないかと思ってましたが、一つすごく気になるところが。

左が6番シリンダ側です

エキマニ内もカーボンは少なくて、『意外と状態いいじゃん♪』とか思っているとこれ。

うわ・・・詰まってね?

なぜか6番だけ面積半分くらいになるくらいまでカーボンが詰まってます。

再びヘッド側のポートを見てみると、たしかに6番だけ少々カーボンがいますね。

一番左が6番
あーこりゃおかしいね。

なんなんでしょうね。シリンダー側は6番も健康そうなので、バルブシールとか、バルブのガタがでかくてオイルが多量に入ってるとか、はたまたここだけ噴射ノズルの状態が悪いとか?

ちょっと気になりますが、ヘッドは外注作業なので触りません。あちらで判断してもらいます。

そして、発送して2週間が来るかという頃、回答が来たんですが、衝撃的でした。

シリンダーヘッド歪み0.16mm、各バルブシートあたり部溝状摩耗、カムシャフトカム山腐食とのことで、ヘッド・バルブ・カムシャフト新品交換。

ヘッド研削できないの?と聞くも、

『ヘッドの歪み限度は0.2mmまでだが、そもそも軽面研磨の限度値は0.05mmまでなので交換が必要』との返答で、バルブリフターしか残ってないじゃん。

金額もそれなりに高額。車検も合わさって『え〜ちょっとそれは・・・』って言いたくなりそうな中、『それでやってくれ』と、男前な回答で現物リビルト品と言う名の新品ヘッドが届いたわけです。

ヘッド積みます!

さて、重い重いヘッドをベビークレーンで吊るしてブロックに積みます。

もちろんブロック側は万全の下処理が済んでますし、ヘッドボルトまで消耗部品は新品なので、700Kg・cmで締め付けその後90°×2回の角度締めと、中古ボルトなら『折れたらどうしよう・・・』と思うところも難なくスムーズに締め付けできました。

こういう作業、だいじなところでつまずいてははいけませんからやるなら変なところでケチらないのが大事ですね。

さて、完成したので試乗してみますが、交換前はまずアイドリングから軽く白い白煙で加速時には黒煙に混じってさらに白煙が入ってまるで煙幕のようでしたがアイドル時・加速時とも白煙はなく、しかも加速が軽やか。

もちろん黒煙も軽減されていて当時のディーゼル車の常識の範囲内(の中でも軽い方)、もともと重い車体を怒涛のトルクで『ズゥオオオオオーーーー』と加速させている感覚で『これぞランクルよ』と思っていた加速感がまるで嘘のように『シュウォーン』と加速します。

本来の4.2Lディーゼルターボってこんなに余裕があったのかと。

あの怒涛のトルク感はまさに『感』。

ただ、アンバランスな燃焼でトルクに波が発生しているだけだったのかと。

また、車検の方でデフオイル漏れに端を発したフロントハブのオーバーホールで直進性もハンドリングの滑らかさも取り戻して、大柄なランクルが一回り小さい車のように取り回ししやすくなりました。

フロントハブ周りも完全オーバーホールです。

今年で31才のランクルですから全体的にかなり下がっていたところをとりかえしてやったことで現役感が帰ってきました。

Mくんも『これで一生乗らないといけなくなった』と言ってましたが、まだまだ戦えますな。

これからも大事にしてやってください。

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